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平川克美氏が主張するコンサルタントが見落とすこと

2009年01月06日

平川克美平川克美サポート3平川克美著「ビジネスに「戦略」なんていらない」(洋泉社新書:2008年6月)平川克美サポート2を読了。久し振りにビジネス書を読みましたが、この新書、本当に考えさせられことばっかりで、ちょっと感動しました!

「会社の哲学」、「ゴールとプロセス」、「日本型経営」、「人事査定」・・・キーワードは、いくらでも出てきますが・・・その深い洞察力は、素晴らしいの一言ですね。ソリューションばかりに注目がいくコンサルティングの世界に、こうしたコンサルタントがまだいらっしゃるというだけで、ちょっと嬉しくなります。

新書のタイトルは、「戦略なんていらない」という刺激的なものですが、著者である平川克美氏は、「戦略コンサルタント」といった看板を掲げているそうで、「戦略」そのものを否定しているのではない、としています。では何を否定しているかというと・・・

本書の本当の批判の対象はまさに戦略的な思考を含む「思考の方法」ということであり、それを論ずるためにはいったん今の思考の枠組みというものを「脱構築」してゆく必要があった・・・(p.243)

アメリカ型経営での「戦略」とか「戦術」といった思考方法に疑問を呈しているのですが、昔のような日本型の経営もまた限界に来ているという視点も存在していて、新たな経営思考が必要、と謳っているのも重要なポイントですよ。

新書の中では、コンサルタントへの提言もいくつかあります。

企業を立ち上げてゆくプロセスで最も重要な課題のひとつは、創業者ひとりのアイディアをチームのアイディアに変えていくということです。つまりは、「組織」を生成していくプロセスこそが、スタートアップ企業が企業として成長してゆくための中心的な課題であると言えます。(中略)多くのコンサルタントや大企業をスピンアウトした経営アドバイザーが見落とすのは、その組織生成のプロセスの重要性なのです。(p.90 – 91)

以前は、「コンセンサス」とか呼んで、上記のような組織生成のプロセス(企業成長の過程を含めて・・・)におけるチームのアイディアの整合性の重要性をうたっていたこともあるのですが、上記のように記述されていると、ふう~っとそうしたことが欠落してしまっていることに気が付かされます。

更に、コンサルタントに関して・・・

バブルと日本的経営の絶頂期の80年代、失われた10年の90年代、そしてITバブル、ネットバブルの2000年代初頭から一気に長期停滞となるポストITバブルの時代。さまざまな言葉が無反省に、特に米国から輸入というやり方で躍ったわけです。そして今は、戦略、MBA、MOT です。

大学を出て2年ほど学んだだけで、企業の何かがわかったつもりでいる、若いコンサルタントやベンチャー経営者に対して、今、君たちが使っている言葉もまた、すぐに新しい言葉に置き換えられ陳腐化するのだと言っておきたいと思います。(p.115 – 116)

これも我々コンサルタントは、肝に銘じておく必要がありますよ。ソリューションばかりを追っているコンサルタントは特に、欧米からの輸入に頼っていると、直ぐにソリューションは陳腐化して、どんどん本質を見極めることをしないで、新しいソリューションを追う・・・そんな繰り返しをしていても、いづれは行き詰る・・・そんなことを十分に理解しておく必要があるんです。

知識

ビジネスに「戦略」なんていらない

2009年01月03日

平川克美平川克美サポート以前から購入してあった平川克美[1]著「ビジネスに「戦略」なんていらない」(洋泉社新書:2008年6月)平川克美サポート2を読み始めました。最近は、ビジネス書を読もうといった気力がなくて(内容的に面白くない、というのが本音ですが・・・)、仕事に活かそうとしての読書よりも、自己啓発のためや知識のための読書が多くなっていますから、久し振りのビジネス書・・・ただ、平川克美氏は、確かにビジネスマンですが、もともと内田樹氏の親友と知って興味が湧いてきただけなんですよね。

新書のタイトルも刺激的ではありませんか?アメリカ在住の時に、知人のコンサルタントが、「I hate the word of “strategy,” because it was used in the war.」と主張していたことがあって、ビジネスで利用すべきではないとか。平川氏も表面上は全く同じ理由で、ビジネスにおいて、戦争で利用される「戦略」といった」概念を利用すべきではない、というものです。

しかし、この平川氏は、それだけに留まりません。ビジネスそのものを再考し、持論を大いに展開しています。特に序盤で展開される「会社の哲学」に対する考え方は、是非ともコンサルタントが知っておくといいのではないでしょうか、と思うのですが、意外とやり手の、しかも若いコンサルタントには受け入れがたい考え方かもしれませんね。

ちょっと目次をリストしておきましょう。

  • 序章 わたしがビジネスを戦争のアナロジーで語らない理由
  • 第1章 ビジネスと言葉づかい―戦略論を見直すために
  • 第2章 ビジネスと面白がる精神―会社とは何か
  • 第3章 見えない資産としての組織―組織とは何か
  • 第4章 プロセスからの発想―仕事におけるゴール、プロセスとは何か
  • 第5章 モチベーションの構造―人が働く本当の理由
  • 第6章 一回半ひねりのコミュニケーション―なぜ、「なぜ働くのか」と問うのか
  • 第7章 それは何に対して支払われたのか―評価とは何か
  • 第8章 攻略しないという方法―新しいビジネスの哲学として
  • 付章 内田樹君とのビジネスをめぐるダイアローグ

付章に関しては、ちょろっと掲載するよりは、もっととことん内田氏とのやり取りをして頂いて、内容をを掲載して欲しかったのですが、とっても残念ですね。それ以外の章は、全てじっくりと読み解いていきたい感じがしますが。

残念ながら、私もコンサルタントとしてクライアントに接する時には、利益をどうやって最大化するのかを徹底的に探します。コンサルタントの仕事しては、それで良いのかな!?ただ、私の場合、「サラリーマン」ですから、所属する会社の哲学は知りたいですよね。私個人としては、コンサルタント業に対する哲学は持っていると信じていますが。

ただ、「哲学」が何かがいま一つ理解していない・・・

この新書、通常の「ビジネス書」とちょっと違った趣向があり、コンサルタントしても読了しておくのが良いかも。ちょっと新しい考え方を与えてくれると思いますよ。こうした内容の書籍をもっと読みたいな・・・

脚注:[1]
平川克美(ヒラカワカツミ)
1950年東京生まれ。早稲田大学理工学部機械工学科卒。77年、外国語翻訳サービス、日米IT関連企業へのローカライズサービスを提供するアーバン・トランスレーションを設立。99年、アメリカ・サンノゼ市にビジネスサポート、インキュベーションを主業務とするBusiness Caf’e, Inc.を設立。2000年、ビジネスカフェジャパンを設立、現在、同社社長。01年、リナックスカフェを設立し、現在、同社社長。07年、ラジオカフェの創業に携わり、同社取締役プロデューサーとしてラジオパーソナリティを兼任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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